◆支援職の皆様へ
周産期喪失を経験した家族への支援において、祖父母へのグリーフケアは見落とされがちなテーマです。祖父母は「子どもをなくした両親を支える身近なサポーター」としての立場にある一方で、「孫を失う」「嘆き悲しむ我が子の姿を直視する」という自身の深い悲しみや苦しさを同時に抱えています。このように、祖父母は“二重の悲嘆(dual grief)”を経験することが多く、心理的負担は決して軽いものではありません。
周囲からは「親を支えるべき存在」とみなされ、自らの感情を表現しにくい立場に置かれがちです。このため、祖父母の悲しみは社会的に認識されづらく、孤立や無力感、罪悪感を抱えることもあります。特に自分の子(喪失を経験した母または父)の苦しみを前に、「何もしてあげられなかった」と自責の念を抱くことも少なくありません。
支援者はまず、祖父母の悲嘆もまた正当で自然な反応であることを伝え、感情の表出を受け止める姿勢が求められます。また、両親や祖父母がの希望を丁寧に聞き取りながら、家族としての思い出作り(足型、写真、名前)をする機会を設けることも、意義のあるサポートとなります。
退院後、祖父母が悲嘆に暮れる両親や他の孫の世話を担っていることもあるため、グリーフと生活の両立に困難を感じている場合があります。適切なタイミングでの声かけや、地域資源の案内(地域の保健師への個別相談、自助グループ等)も有効です。祖父母のグリーフケアは、家族全体の悲嘆を支えるうえでも欠かせない要素です。支援者は、家族ひとりひとりのグリーフに寄り添う包括的な支援を意識することが求められます。
◆天使の保護者ルカの会 ウェブサイトより
パンフレット「流産・死産・新生児死亡で赤ちゃんを亡くされたご両親の悲しみに寄り添う祖父母の方へ」(亡くなられた赤ちゃんの祖父母の方向け)
*赤ちゃんをなくされたご両親・ご家族には、いずれのパンフレット、小冊子も無料送付。医療・保健関係者にはパンフレットのみ送付(送料のみ実費)されているそうです。詳細は下記リンク先を参照ください。
◆ポコズママの会 ウェブサイトより
「ご家族の皆さまへ」ページ内に、お孫さんをなくされたおじいちゃん・おばあちゃんへのメッセージが記載されています。
*参考資料・文献
『流産・死産・人工妊娠中絶を経験した女性等への支援の手引き』(令和4年度版、厚労省)
この領域の支援について、具体的に記載されたオープンアクセスの日本語文献は少ないため、いくつか海外の団体の資料をリンクしておきます。DeepL等の無料翻訳ソフトを使えば、内容は概ね把握できますので、当事者ご家族の方にも参考になる資料だと思います。
*Sands (イギリスの支援団体)「Information and support for grandparents」
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