赤ちゃんをなくした家族にとって、「次の妊娠・出産」はナイーブかつ重要なテーマです。赤ちゃんをなくして間もない時期から、もう一度、元気な赤ちゃんをこの腕に抱きたいと願う親御さんは少なくありません。一方で、「また失うのではないか」という不安・恐怖が強く、次に進めずにいる親御さんも多いと思います。中には、前回の経過から、次の妊娠・子どもを持つことを断念しなくてはならないご家族もおられます。
どのような状況であっても、その状況に適応していくことはとても大変なことです。同じような経験をした人がどのように考え、どのように取り組んだかを聞くことができればと思っても、日常の場ではそのような機会はなかなかありません。
このテーマに関する悩みや葛藤・不安に対処するためには、当事者が集う自助グループに参加したり、SNSで「天使ママ」と繋がり交流することが助けになるかもしれません。また、同じ悩みをもった当事者の体験談や資料を読むと、自分の気持ちを整理する助けになると思います。
◆参考文献
*周産期に子どもを亡くした経験をもつ母親の次子の育児の特徴ー上子との育児の違いを通して ー 伊藤静香、 蛎崎奈津子 岩手看護学会誌 Vol.8, No.2,2014
◆「陽だまりのなかへ」
次の妊娠・出産をテーマにまとめられた冊子。SIDS家族の会が刊行している小冊子で、同会のウェブサイトから購入できます(1冊500円 )。
◆厚生科学研究費補助金(子ども家庭総合研究事業) 分担研究報告書 妊産褥婦および乳幼児のメンタルヘルスシステム作りに関する研究「周産期の死(死産・新生児死亡)を経験した母親のメンタルヘルスに関する研究」 竹内 徹
論文より一部抜粋)
死を医療の敗北と考え、退院をもってすべてが終了したとして対処することには、 大いに問題があることは明らかである。次の妊娠について聞いた結果から、8割以上が次の妊娠を考えており、実際にはその内の64%が妊娠・出産を経験している。次の妊娠・出産をどの時期に計画し実行するかによって、正常な悲嘆過程が抑圧されたり、育児上の諸問題にまで発展する可能性のあることを考慮しても、少なくとも何時でも連絡が取れる態勢にある病院のシステムづくりが必要と考えられる。
◆不育症に関する情報
妊娠はするけれども、2回以上の流産、死産を繰り返して結果的に子供を持てない場合、不育症と呼ばれます。日本、アメリカ、ヨーロッパでは2回以上の流産・死産があれば不育症と診断し、原因を探索する事を推奨しています。また1人目が正常に生まれても、2人目、3人目が続けて流産や死産になった際、続発性不育症として検査をし、治療を行なう場合があります。
2回以上の流産、死産を経験した場合、不育症に関するリスク因子の検査(流産の場合は、その多くは偶発的流産ですが、2回以上繰り返す場合、リスク因子がある場合があります)について、主治医の産婦人科医師にまず相談してみましょう。また、各自治体に不育症相談窓口が設置されている(https://www.mhlw.go.jp/content/000882718.pdf)ので、そちらに相談することもできます。
「Fuiku- labo 」ウェブサイト
厚生労働省研究班がまとめたもので、一般向けにわかりやすく情報提供がされています。
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